売れに売れているヴェゼルの実力はどれほどのものなのか?興味があったので試乗してきました。試乗車のグレードはハイブリッドRSでした。ホイールが専用デザインになり、バンパー下部、ホイールハウス、サイドスカートがグロスブラックになっています。
ハイブリッドは7速DCT、ガソリン車はCVTとトランスミッションが異なるので、ハイブリッドに乗りたかったんですよね。国産車でDCTを使っているのはホンダだけではないでしょうか。今回は動画もOKだったので、よろしければどうぞ。
CH-Rという強力なライバルが出現したので、今後の売れ方が気になりますね。全長はCH-Rより30cmほど短くホイールベースは3cm短いだけなので、オーバーハングが短く、ギリギリにタイヤのあるスタイリングになります。
全体的にスッキリしたデザインなのがCH-Rとの大きな違いですね。表も載せておきます。
今回はディーラーさんのご行為で、通常の試乗コースよりも少し長いコースで試乗させてもらえました。
まず乗り心地。RSということで専用のダンパーが採用されているそうです。少しだけコツコツ段差を感じますが、不快なほどではありません。同乗者もこの程度ならまったく文句ないでしょう。少し高めの速度で曲がってみましたが、わずかな姿勢変化と自然な曲がり方でクリアしてくれました。過度にクイックな動きではなく、ダルくもない、まさしく「自然」。ハンドルに伝わるタイヤと路面の感触もちゃんとあり安心して乗れます。
ロードノイズとエンジン音の遮断は並でしょうか。特別静かではありませんが、五月蝿くもありません。ただエンジン音は音質が良く、これが踏んでいくと気持ちいいんですね。ロードノイズは静かなら静かなだけ良いのですが、エンジン音はいい音ならある程度聞かせてくれても良いので、もっと聞こえた方がいいという人もいれば、もう少し静かな方がいいと思う人もいることでしょう。
加速については、エンジンとモーターがそれぞれ100%で駆動することがあるのかどうか不明ですが、150ps程度出ていれば車重も軽いので、速い!とは言えませんが、必要にして十分な力があります。モーターのアシスト感はあまり感じず、NAエンジンのような感触でした。
半分以上をエコモードで乗っていましたが、特にかったるさはありませんでした。エコを解除してもさほど違いは分からずです。スポーツモードにするとシフトスケジュールが高回転型になり、グイグイ加速するので気持ちいいのですが、町中では回しな感もあります。通常はエコモード、空いていて飛ばしたい時はスポーツモードですね。
スポーツモードにするにはシフトレバー手前のスポーツボタン、エコモードのONとOFFはハンドルで見えませんが、ドイツ車のライトスイッチのあたりにあります。これはエコ→ノーマル→スポーツというモード切り替えボタンをシフト周りに作って、1つにまとめていいのではないかと思いました。
7速DCTは予想外(失礼)にスムースかつ素早い変速をしてくれ、普通の流れに乗る程度のアクセル開度では、ほぼ変速ショックを感じさせずシフトアップしていきます。そしてパドルを使えば人間では不可能な速さでアップもダウンも完璧にに変速。これは素晴らしい!山道を飛ばして走りたくなる、いい音を奏でるエンジンとキレの良いDCTの変速は、ヴェゼルハイブリッドの大きな魅力です。非ハイブリッドはCVTなのが残念・・・
ブレーキは少し違和感を感じました。昔のBMWみたく初期からグっと効くタイプで、これに回生ブレーキが加わるせいか、低速から停止というのが思ったようにできませんでした。オーナーになれば慣れるのかな?
インテリア全体の質感は、普通からやや高い、といったところでしょうか。RS専用のスエード調素材がダッシュボード、シフト周り、シートに使われており、存在感があります。写真では真っ黒ですが、エアコンがタッチパネル式なのと、表示がコントラストの高い白なので、エンジンがかかると少し印象が変わると思います。ステンレスのアクセル&ブレーキペダルカバーがカッコイイですが、フットレストはプラスチックのままでした。
デザイン面では助手席エアコン吹き出し口が3つ並んでいるところや、シフトレバー下がトンネルになっているのが面白いですね。
シートのサイドサポートはRSだから大きめなのか、他のグレードと共通なのか聞き忘れましたが、普通に乗る分にはちょうどいいサポート力でした。座り心地は・・・すみませんあまり気にしていなかったので印象に残っていません。なので悪いということはないと思います。
個人的に文句と言うか、ここがこうなら・・・と思ったのは、スエード調部分の色と、プラスチック部分の色のトーンが近い為、素材感こそ違うものの全体がグレー!と目に飛び込んできます。スエードを真っ黒にするとか、アルミの装飾をモニター下のラインに端から端まで入れるなどするとコントラストが上がり、見栄えがいいと思うのですが、どうでしょう?
それからメーターです。基本情報は見やすいのですが、通常時タコメーターが無いのが残念。スポーツモードにするとスピードメーター右側がタコメーターになりますが(表示切り替えで常時でもできるのかな?)、小さくて見づらいんですよね。エンジン音が良く、パドルシフトもキレ良く作動するのにタコメーターが見づらいのでは盛り上がりに欠けます。ここは液晶の目盛りが上がっていくタイプではなく、アナログのタコメーターが欲しいと、おじさんの車好きは思いました。
インテリアやシートアレンジの様子も動画にしたので、どうぞ。
最後にCH-Rとの比較ですが、少し記憶から薄れかけているCH-Rのことを思い出すと、静粛性とボディのしっかり感は3年新しいCH-Rが優れていると思います。乗り心地も軽快さとビタっと安定した2面性を見せるCH-Rが少し上かな。この2つはトヨタ渾身、最新の車が相手ですから分が悪い。
ヴェゼル最大の魅力は、気持ちいい音を奏でるエンジンと、ハイブリッドの7速DCTによる超絶技巧シフト。これに尽きます。走り好きにはきっと響くことでしょう。CH-Rハイブリッドのエンジンはブーンと回るだけで味気ないし、CVTなのでやる気が出ません。ヴェゼルは普段はエコランして、山道では回して走る!という2通りの楽しみがあります。シートアレンジも多彩さもヴェゼル独自の魅力です。
ハイブリッド感はCH-Rの方がモーターのみで走る時間が長いので強く感じますね。ヴェゼルはモーターのみで走るのは停止から走り出しのみ、という感じです。(バッテリーの充電状況によって変わる?)
ハンドリングについては、どちらも軽快に曲がりますが、よりその傾向が強いのがCH-R。ヴェゼルはコンパクトSUVとして自然な軽快感。これは好みの問題ではないでしょうか。
内装は外装と同様のイメージで、ヴェゼルはプレーンでシンプルなデザイン。CH-Rは立体的で個性的なデザイン。ただどちらも使い勝手は上々。クオリティは互角、といったところでしょうか。
結局車は外観のデザインが好きかどうか?というのが大きいので、デキのいいこの2台なら、どちらを選んでも幸せになれそうな気がします。
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