車好きとして、車は眺めていても楽しいものですが、やはり走らせてナンボです。移動の道具として使うだけでなく、走らせること自体が楽しい車というのは良いものですが、ピュアEV以外の車はその時に必ず燃料を消費し、その分のCO2を排出します。楽しむことも良いですが、たまにはどのくらいの燃料が日々消費されているのか?乗用車のディーゼル車が増えてきているけど、ディーゼル燃料の消費量は増えているのか?ということを調べてきたので、今回はそんなことについてお話したいと思います。事の発端はどこかで「日本は軽油を輸出しているので、ディーゼル乗用車が増えることで作ったディーゼル燃料を自国で消費できるのはいいことだ」というのを見たことです。マジか!知らなかった!とその時思ったのですが、ではどのくらい輸出されているのか?実際輸出量は減ったのか?ということまで書いていなかったので、ならば自分で調べるか、となったワケ。
その為、十数年ぶりに図書館に行きました。ネットでは検索しても出てこなかった(少しは出てくる)んですよね。今回読んだのは「日本国勢図会」という本です。毎年発行されているみたいで、燃料に関してだけではなく、工業、農業、通信など様々なデータが載っている面白い本でした。ただ基本的に載っているのはその年のデータなので、過去10年くらい知りたい私の場合は10年分パラパラ調べる必要がありました。この本は持ち出し禁止なので借りることはできず、コピーはOKですが写真はNG。コピーを取ろうにも1冊の中でページをいくつか跨いでいるので枚数が非常に多くなりそうということで、ケチな私はすべて手書きでメモることに。ちなみにこの本に行き着くまで、図書館のお姉さんがすごく親切に探してくれたのが嬉しかったです。きっと私が好みのタイプだったのでしょうw
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さて、それでは本題です。日本の原油がほぼ輸入されているのはみなさんご存知のとおりで約99.7%は輸入されています。その量ですが、2008年から2017年までを表にしてみました。
9年間で輸入量は22.8%も減っていたのですね。減ったとは言えその量は2017年で187639×1000キロリットル。単位をリットルにするには100万を掛ければいいので1876億6390万リットルとなります。おお・・・とんでもなくデカい数字なのでワケが分からなくなりますが、タンカー1隻はどんなもんか?とウィキペディアで調べると、輸送量でいくつかのサイズに分類できるみたいで、日本に来るサイズはVLCC(ベリー・ラージ・クルードオイル・キャリアー)というサイズらしい。それより大きいULCC(ウルトラ・ラージ)はマラッカ海峡の最大喫水である21mを通過できないそうな。VLCCの積載量は20~30万トンとあり、ざっくり何隻分なのか計算するのに真ん中の25万トンだとしましょう。タンカーの積載量は単位がトンですが、原油は水より軽く、その比重は成分によって異なり0.830~0.904とそこそこ差があります。(この差は原油のグレードとなる)こちらも真ん中の0.867とし、VLCC1隻で2億8853万リットル輸送できるとしましょう。25メートルプールの水が36万リットルならば801個分相当と、いかにタンカーが巨大か分かりますね。では計算してみましょう。1876億6390万÷2億8835万=650.82。1年で650隻。毎日約1.8隻のVLCCが日本に原油を運んでくることになります。
運ばれてきた原油は処理することでガソリンや軽油、重油や液化石油ガス、アスファルトなどになり、ほぼすべて無駄無く使われることになります。93~94%くらいがガソリンや軽油、ジェット燃料などの燃料になり、5.2%が潤滑油やアスファルトになる、という具合。残りはロスでしょうか?そこはちょっと分かりませんでしたが、次に各燃料がどのくらいづつ作られるのか見ていきましょう。
ガソリンと軽油が多く、次に重油です。重油は普段の生活で馴染みがありませんが、ガソリンより発熱量が高い特徴があり、大型船舶の燃料や発電に使われます。その力はガソリン1リットルが7972kcalなのに対してA重油9293kcal、C重油9980kcal。1.16倍から1.25倍の発熱量があるんですね。ちなみに軽油も8718kcalあるのでガソリンの1.1倍の発熱量があることになり、ディーゼルエンジンの燃費が良い理由の1つでもあるでしょう。ピストンを上下させるレシプロエンジンを自動車に積む場合、ガソリンの熱効率は全開時で30~35%、通常走行で20%くらいと言われています。もし100%のエネルギーを取り出せたなら燃費が今の3倍になるのですがそれは夢として、60%取り出せるだけでも2倍近くなるワケで、まだまだ進化する可能性は秘めていると言えますね。ディーゼルエンジンは燃料そのものが持つエネルギーで10%有利ですが、MINIの場合同じ2リッターエンジンでもガソリンとディーゼルでは4割くらいディーゼルの方が燃費が良いので、今の技術だと軽油の方が効率良くエネルギーを取り出せている、ということでしょう。
原油の93~94%が燃料になると書きましたが、その内訳はガソリン30.7%、軽油23.9%、重油16.9%、ナフサ10.7%、灯油9%、ジェット燃料8.6%となるみたいです。原油を燃料に精製するには加熱による沸点の違いを利用した蒸留で行うので、軽油が余るから少なめにして他のものを増やす、ということはできないでしょう。
次はさらっと燃料以外のものがどのくらい作られるかを見てみます。
潤滑油とアスファルトは分かりますが、パラフィンは聞き慣れない言葉でした。黒い液体かと思ったら常温では白っぽい固体で、ロウソクやクッキングシート、リンスや乳液などに使われるみたいです。(空欄になっている部分はなぜかその年のデータが載っていなかった)液化石油ガス(LPG)はタクシーの燃料、家庭でコンロや給湯に使われています。低い圧力で液化できるのでガス管が来ていない地域にもトラックで輸送可能となり、グレーのタンクに入っているプロパンガスがこれ。似ていますが液化天然ガス(LNG)は地下から産出されるガスを-162℃以下にして液体としたもの。体積が1/600になるので輸送、貯蔵するのに液化するのですね。現在の日本では火力発電のメイン燃料として使われています。
では最後に日本のガソリンと軽油の消費量、輸出入量を見てみましょう。こちらは1980年から10年ごとと、2008年からは1年ごとです。
何をどれだけ輸出入したというデータはありませんでした。2000年以前の生産量は私の書き漏らしだったか、載っていなかったのか・・・
まずガソリンの消費傾向を見ると1980年から2000年で大幅に増え、2010年まで高い数値が続きますがそれ以降は徐々に減ってきているのが分かります。「世界国勢図会」という別の本で乗用車、バス、トラックの所有台数を調べたところ、1980年のデータはありませんが、1990年は5769万8000台、2000年は7264万9000台、2010年は7536万2000台、2015年は7740万4000台でした。1990年から2000年にかけて自動車が急激に増えているので、1980年から1990年もかなり台数が増えた時期だったと思われ、それに伴い消費されるガソリンも増えていたのでしょう。その後2010年から徐々に消費が減っていくのはアクアやプリウスに代表されるハイブリッド車が燃費で頑張り、かつディーゼル乗用車が増えた影響もあるかも。
ではディーゼル乗用車が増えたら軽油の消費量と輸出量に変化はあるのか?という一番知りたかった疑問の答えは・・・このデータからはなんとも言えないものでした。ディーゼル乗用車は初代マツダCX-5が発売された頃から流行り始めたと思うのですが、その発売は2012年2月。そこから現在までの軽油使用量の変化は増えたり減ったりですが大きな変化はありません。輸出量についても2012年から急に増えていましたが、何をどれだけという内訳がないのでなんとも言えない状態。軽油を使うメインはバスやトラックであり、その台数は2015年の場合1641万7000台なので、乗用車部門でディーゼル車が50万台増えたとしても3%程度。もともと燃費の良いディーゼル乗用車なので、バスやトラックが使う軽油にプラス1%か2%増えたくらいなのでしょうね。期待した結果ではありませんでしたが、バスやトラックの台数を知ると当然の結果だったと言えます。
ということで色々調べてみましたが、結論としては少々ディーゼル乗用車が増えても軽油の消費量に大きな変化はないというもので、ちょっとつまんないなーというのが率直な感想です。ガソリンの消費量が2000年より約9%減っているのは喜ばしいことで、ここにディーゼル車が増えたのも多少影響しているかもしれませんね。しかしまぁガソリンだけでも年間519億400万リットル消費されているワケで、これは毎日1億42301万リットル消費されていることになるのです。25メートルプール395個分です。塵も積もれば山となるので、ちょっとの移動くらいは自転車を有効活用しなければ、と思うのでした。それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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