ミツビシの新型車、エクリプス クロスに試乗。エクリプス クロスが発売されるまでのミツビシのラインナップというとパジェロ、アウトランダー、RVR、デリカD5、ミラージュ、あとはOEM車なワケですが、まぁまぁ新しいアウトランダーでも2012年10月デビューですよ。RVRはそこから約2年前、デリカD5はさらに3年前という状況で、いかにエクリプス クロスが久しぶりの新車かというのが分かります。短いサイクルでバンバンモデルチェンジするのが偉いということではありませんが、話題性と目新しさが重要なのも事実で、エクリプス クロスが発売されるまで販売店の方はしんどかっただろうと勝手に想像しちゃいます。私は初めてミツビシのお店に行ったのですが、エクリプス クロスについて話す営業さんは嬉しそうでしたね。
そのエクリプス クロスですが、スペック的にはC-HRやインプレッサXVとガチンコ対決のサイズ。他にもCX-3やヴェゼルなどの人気モデルがしのぎを削る激戦区であります。
今回も表を作りましたが、エクリプス クロスは中々のパワーを出している割に燃料はレギュラーでいいみたいです。毎回表を作って思うのはC-HRのパワーの低さと燃費の悪さですが、車重1470kgに1.2Lはキツイのでしょうか?
試乗車はGプラスパッケージという最上級モデルのFFです。価格は287.9万円。実物で見るエクリプス クロスはギュっと凝縮された力強さみたいなものがあって普通にカッコイイ。プレスラインもシャープでクッキりしているし、ヘッドライトやグリルも精悍なデザインでイケメンですな。サイドのプレスラインがフィットっぽかったり、テールランプがV40そっくりだったりと色々混ざっている感もありますが・・・
室内は奇をてらわないデザイン。色使いもブラックにシルバー装飾、一部ピアノブラックという定番のもの。GプラスパッケージだとBMWみたく薄いモニター立っているのが新しさを演出していますね。GやMだと2DINサイズのナビを無理やり入れる箱になるのが辛いところで、マツダみたいにモニターは全グレード標準として割り切った方がいいのでは?と思います。しかし好きなナビを入れたい人はマツダ方式は困るので、どちらの要望も叶えるとエクリプス クロスの方式はナイスに思えてきました。このモニター、後発にしてはサイズが小さいか?とも思いますが、解像度は高いみたいで文字やアイコンはクッキリ見えます。ダッシュパネルやシフトレバー周辺、ドアトリムの質感は一言で表すと並。Gプラスパッケージならモニターの付き方で新しさは感じるものの、インプレッサXVの質感には敵いません。室内は広々しており、広さ重視の方には喜ばれるでしょう。シートはやや固めのしっかりしたものでした。
エンジンをかけてみると、冷え切っているにも関わらず非常に静かで振動が少ないのが分かります。新開発エンジンということでかなり気合を入れて作ったのでしょう。お店から道路に出て加速すると室内にエンジン音が入ってきますが、特に安っぽい音ではありません。やっぱ気合入ってます。今回は大人しく乗っていたのですが、このエンジンで強く印象に残ったのは出足の加速です。わずかなアクセル操作ですいーっと加速するんですよ。低回転からきっちりブーストをかけているのが伺えますが、スロットル開度の設定が早くしてあり、意図的に軽快な走り出しを演出しているようにも感じました。このパターンは何も考えずに乗ると「よく走る、軽快に加速する」ことになりますが、燃費は悪くなるでしょうし、いざ全開加速した時に思ったほど加速しない感が強まるかもしれません。これってよくあるスポーツモードの特性ですが、エクリプ スクロスのFF車にはスポーツモードは無く、ノーマルかエコモードなんですよね。演出ではなく、本当にわずかなスロットル開度でパワーが出ているのなら素晴らしいのですが、1.5Lエンジンで1.5tの車重と考えると、あそこまで軽々と走るのは演出かと思います。普通に乗っている限りかったるさは皆無でキビキビ走れるので楽しいと言えば楽しいんですけどね。
ステアリングを切っていく感触は路面とタイヤのグリップ感が伝わってきて良し。パワステのアシスト量も的確で、重くもないし軽くもないちょうどいい塩梅。そして乗り心地ですが、想像していたよりガッチリ系でした。段差を消すような柔らかいものではなく、多少のコツコツは伝えてくるけどコーナーではふんばるぜ!という欧州車的なタイプ。これはエクステリアの走りそうなデザインとマッチしていていいですね。速度が上がると乗り心地も良くなるかと思いますが、残念ながら試乗コースはそんなにスピードを出せず、体験することはできませんでした。ボディサイズと乗り心地的にVWのティグアンを連想しましたが、ボディ剛性、シャシー性能はティグアンが上に感じます。巨大メーカーであるVWが超本気で作ったMQBですから当然かもしれませんが、一瞬で揺れや振動を収める性能が違います。エクリプス クロスが「トン」や「ドン」だとすると、ティグアンは「トッ」や「ドッ」とクリアしていく感じ。価格が近いC-HRは車体が軽く感じる乗り心地なので系統が違うとも考えました。エクリプス クロスにはC-HRに無い、ちょっとした重厚感も感じます。ハンドリングもクイクイ曲がるC-HRと粘り強く曲がるエクリプス クロス、という感じ。
静粛性についてはロードノイズの遮断がかなりハイレベルでとても静かです。なので相対的に加速時はエンジン音がよく聞こえてくることになり、悪い音質ではないけど良くもないので、これが良い音質なら最高なのですがそこまでは難しいのでしょう。ブレーキはちゃんとしたタッチでしっかり止まってくれるし、低速でのコントロールもしやすいものでした。それからアイドリングストップは試乗中は作動せず。どうやら快適性重視でエンジンがしっかり温まらないと作動しないみたいです。その他細かい部分ですが、ナビ画面周辺からパキパキ音がたまに鳴っていました。これも仕方ないところなのでしょう。
最後にライバル車と比較してエクリプス クロスは買いなのか?と考えました。これは「デザインが気に入れば車の性能は悪くなく、買って良し」だと思います。そこそこのペースなら重心の高さを感じさせないハンドリングに粘るサスペンション。乗り心地自体もそんなに悪くないので、好みもあると思いますがバランスは良いと思います。ただボディ剛性は特に何も感じなかったので余裕があるとは思えず、ここだけは新しい車なのだからもっと余裕が欲しいと思いました。あとは市場でどれくらいウケるか、売れるかですね。インプレッサXVと同じくらい売れるかな?デザインは良いので可能性は秘めているのですが、なにぶんミツビシの新車って久しぶりすぎて予測不可能なのです。いっそ燃費は諦めて、1.5Lではなく2L 240psくらいのパワーだとデザインと合わせてアツイ車になったと思うのですが、価格も上がるし喜ぶのは一部の人だけか・・・
コメント
この車のシャシー性能はかなりのもですよ
https://youtu.be/OhX0pJs_ff
https://youtu.be/x8acDR3zez0
https://youtu.be/eXg0-Yz3OuI
このテストを80キロでクリア出来る車は世界的にも少ないです
どう見てもティグアンよりボディ剛性も含めシャシー性能は上だと言わざを得ません
運動性能にこれだけ差がある分、街乗りレベルだとティグアンの方が乗り心地は良いですがね
ボディ剛性も上記のテスト見れば高いことは間違いないですね
この車でオフロードを走ったことがありますが
車が跳ねるようなキツい凸凹路を通過してもキシマまないし対角線スタック状態でもドアの開閉に何の問題も無かったですね
これらのことから見ても剛性に充分な余裕があるのは間違いないです
私自身の体感的にもティグアンやC-HR比べても負けていないと感じています
by U 2018年8月19日 10:34 AM
街乗りでの乗り心地がティグアンの方が良いのは
シャシー性能ではなくて単にサスセッティング違いでしょう
ティグアンより運動性能に振ったエクリプスの方がサスの縮み側が堅めなためにトンになるだけの話ですね
シャシー性能自体は少なくともティグアンより下はあり得ませんね
by U 2018年8月19日 12:11 PM
コメントありがとうございます。ティグアンとX3の動画は見ることができましたが、一番上は動画が消えていて見ることができませんでした。これがエクリプス クロスだったのでしょうか?
重くて重心が高い車にダブルレーンチェンジは辛いデストですが、X3は完璧にクリアしていましたね。動きが自然でした。
それに対してティグアンは何度もバウンドするような動きだったので、オーバーステアを抑え込む為に電子制御が派手に作動しているのでしょうか。
エクリプス クロスがX3と同じくらい綺麗にクリアできるのなら、その運動性能はかなりのものですね。
ティグアンのボディ剛性が高く感じたのはサスセッティングからくるものかもしれません。
しかしオフロード走行の経験があるとは凄いですね。コースなのか林道なのか分かりませんが、私も一度走ってみたいものです。(自分の車では擦りまくるので無理ですが)
by mumu 2018年8月20日 9:23 AM
エクリプスクロスはこのテストの成績が80キロクリアだから相当なもんだよ
現行カイエンですら77キロが限界だったはず
カテゴリ関係なく80キロは一つの壁と言えるもので走り自慢のスポーツカーでも80キロクリア出来る車は少ないからね
スーパースポーツのメルセデスGTでも79キロだもの
エクリプスクロスの80キロと言うのはポルシェ911と同性能だからかなりのもんだ
76キロ未満のX3では相手にならんわな
しかもこのテスト車は2wdモデルで四駆モデルは更に凄いということ
以前、S-AWCモデルのダブルレーンチェンジテストの見たけど
台風時に行われたという天然ヘビーウェット路面で同ぐらいの速度で2wdモデルよりも奇麗に安定してクリアしててびっくりしたわ
by セルジオ 2018年8月26日 6:48 PM
エクリプスクロスは45度登坂が出来る数少ないガソリン車でもあるんだよな
しかも30度の坂で停止状態からのスタートで45度登坂が出来るというガチのクロカン四駆に近い登坂性能がある
これは低速トルクとトラクション性能の二つが揃わないと出来ない芸当
ステアリングの切り始めが少しダルなのもオフロード走行を想定してのことで
雪道やダートでは切り始めからクイックだと運転しにくいしデコボコ路ではある程度の遊びがないと路面からステアリングへのキックバックがキツい
ドラポジもクロカン四駆に近いアップライト気味になるようになってるのもオフロード走行のため
スポーツカーのようなドラポジだとモーグル走行時に前が見えない
エクリプスクロスの一番凄いのはこれだけの操縦安定性能を持ちながらクロスオーバーとしてオフロード性能もしっかりある所だろうな
世の中で走り良いと言われるSUV殆どはオンロード特化の実質背の高いハッチバック&ワゴンだからね
惜しむらくは大半の評論家はこういったオフロードの関する知識が少なく
オンロード知識だけで評価されステアリングの切り始めがもっとクイックなほうが良いなどと評価されるところか
by セルジオ 2018年8月26日 7:10 PM
コメントありがとうございます。
SUVを購入した人の何%が実際にオフロードを走るか?となると、その比率はかなり低いと思います。しかしオフロード走行はしないとしても、「走破する実力はマジのオフローダーに匹敵する」というのはそこいらのSUVとは違うというオーナーの満足度アップに繋がる要素ですよね。もちろん本当に走る人へのアピールにもなりますし、メーカー側ももっとアピールして良い気はします。
by mumu 2018年8月29日 9:01 AM