先日父のBMW 330eのタイヤを非ランフラットのミシュラン パイロットスポーツ5に履き替え、乗り心地が劇的に良くなったと書きましたが、とあるサイトではBMWのタイヤをランフラットから非ランフラットにするとコーナーで腰砕になる、直進安定性が下がるとありますし、もう一度ランフラットタイヤと非ランフラットのラジュアルタイヤについて考えてみようと思います。(パイロットスポーツ5へ交換後のレビューはこちら)
みなさんご存知でしょうけどランフラットタイヤとはサイドウォールが強化され、空気圧がゼロになってもペタンコに潰れることなく時速80kmで100km(走行可能距離が短いのもある)の距離を走行することができるタイヤです。高速道路でパンクして路肩に停車していたら後続車に追突された・・・なんてことも運が悪ければ起こる訳で、そのまま走れるランフラットならこれを回避できるのですから安全性が高いのは事実だと思います。さらにスペアタイヤやパンク修理剤を積む必要がなくなりトランクが広くなりますし、スペアタイヤというのはほぼ使われることなく処分されるパターンが非常に多いらしいので、それを製造しなくてもよいというエコなメリットも。最近はスペアタイヤ無しでパンク修理剤が入っていることもありますけどね。デメリットは空気圧ゼロでも潰れないほど硬いのですから乗り心地がゴツゴツする、重量が重い、高価といったところ。
我が家のF30 330eが標準で履いていたのはブリジストン ポテンザS001 RFTというタイヤでして、まずこのタイヤについて調べてみました。すると乗り心地を良くする為に熱を逃す配合がされており、タイヤの硬さを非ランフラットのポテンザS001が100、旧ランフラットのS050RFTを126という数値で表した場合、S001RFTは106になるそうな。つまり非ランフラットとさほど変わらないレベルのクッション性があるということになります。
空気圧ゼロでも走れる分厚いサイドウォールを持つランフラットで乗り心地を良くするにはサイドウォールを薄くする必要がある。すると空気が抜ければタイヤがたわんでしまい、たわむと熱が発生するのでこの熱を逃すような素材の配合と放熱フィン形状のパターンをS001RFTでは採用したというのがブリジストンのサイトにありました。空気が抜けてもまったく潰れないのではなくある程度は潰れるくらいの硬さということですね。それなら乗り心地が悪くないのも納得できる話ではあります。
次に車の方を考えるとBMWはだいたい2003年頃から積極的にランフラットタイヤを採用しているので、20年もの間データを蓄積していることになり、それに合わせたサスペンションの設計は当初と比べ物にならないくらい進化していると思われます。現在一部車種でランフラットを採用するレクサスは新車の注文時にランフラットか非ランフラットかを選べる車種もあるそうで、この場合サスペンションは中間に合わせてセッティングされると予想できますが、BMWは最初からランフラット一本で設計されるので、蓄積されたデータと合わせてより最適なセッティングがされるはず。
そうなると非ランフラットのタイヤに交換したら乗り心地はソフトになってもハンドリングのシャープさが無くなる、コーナーで腰砕になる、直進安定性が落ちるなどなどの弊害が出そうなものなのですが・・・ここで先ほどのブリジストン公式がタイヤのクッション性を数値化していた話です。非ランフラットのポテンザS001を100だとした場合、ランフラットのS001RFTは106でした。となると普通のタイヤの設計とさほど変わらないように思えます。ちなみにミシュラン パイロットスポーツ5はS001RFTが106ならば90〜95くらいに感じ、106で設計された車ならこの程度の柔らでハンドリングに大きな影響は出ないと予想します。今回はタイヤがスポーツ寄りだったから違和感無かったけどメチャクチャコンフォート寄りのタイヤだと腰砕け感もあるのかな?
それからサーキットで車とタイヤの性能をフルに発揮するならハンドリングの低下も感じるかもしれませんけど、一般道を普通に走るような負荷の少ない状況では感じなさそうといのもありますね。ま、これに関しては乗り方に左右されますから一概に言えませんけど、そこそこ安全運転の私は運動性能の低下を感じていないので満足しています。
最後にパンクした時の話ですが、私自身ボルボとミニでそれぞれネジを踏んでパンクした経験がありますので、「パンクなんてしないから大丈夫」だとは思っていません。ボルボとミニでのパンクはトレッド面でネジ踏んでおり、その時はいきなり空気が抜けてペタンコになることはなく、ボルボではある時気づいたらタイヤが少し凹んでいてチェックしたら何か刺さっていたという具合です。それまで違和感無く走っていたのですからゆっくり空気が抜けている状態ですね。異物を抜くと空気が抜けることもあるので、この時は空気を足してそのまま修理へ。ミニの時は空気圧低下の警告が出たのでジャッキアップしてタイヤを外し、タイヤだけ修理へ出しました。ランフラット装着が前提のBMWならば空気が抜けて左右の回転差が生じると警告してくれますから、それを見てからでも修理へ向かえば普通のラジュアルタイヤでも間に合うと思います。(夜なら翌朝空気圧チェックして足すとベター)パンク修理剤は車検の為に積んであるだけで使う気はありません。
ということでランフラットの乗り心地が進化したのならばそれに合わせて車が設計されるので、非ランフラットにしても運動性能が大きく低下することは無いんじゃなかろうか、というお話でした。ならばランフラットのままでいいという考えもありますし、より当たりの柔らかさを求めるのも良し。パンクのリスクと価格を考えた上で判断できると良いと思います。
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