クラブマンの1ヶ月点検でその代車がトヨタ アクアだったので、今回はアクアがどんな車だったのか書きたいと思います。2015年車、走行距離27000km、ダンロップのスタッドレスタイヤ。グレードは不明ですが立派なフォグランプが付いているので真ん中より上かと予想。
私は車に試乗する時、あるいは新車発表の時など、その車がどんな意図で企画製造されたのか?どんなユーザー、どんな使い方を想定しているのか?というのを考えます。すべて理解できるはずもありませんが、一応それを軸に試乗時にエンジンやハンドリングを観察すると、その車の価値がより分かるかな、と思っているんですね。調べたり試乗に行ったりというのは私の意思なので、好きな車、興味のある車しか調べませんし、試乗もしません。しかし代車は私の意思とは関係無く乗ることになるので、それはそれで面白いもの。
で、アクアで帰宅するまでの30分、色々観察しながらこの車は何を目指して作られたのか?ということを考え、1つの結論に至りました。私の勝手な想像ですが、アクアは「兎に角価格を抑えたハイブリッドカーで燃費の良い車を作る」という目標ではないか?と。
シートポジションは高さ調整をある程度の高さにすることでしっくりきますが、低いとペダルが非常に踏みづらいです。渡された時は1番低くしてあってペダルの踏みづらさに驚きましたが、幸いシートリフターとチルト&テレスコピックステアリングが装備されており良いポジションが得られてほっとします。このペダルの角度ですから、かなり上から踏むことを想定しているでしょう。
走り始めると、アクセルペダルとステアリングが非常に軽く、特にアクセルペダルの軽さは踏み込む感触に欠けます。
遮音性は高く室内は静かです。ロードノイズはよく抑えられており、クラブマンより静かかも。加速時のエンジンもけっこう静かで、ハンドルに伝わる路面の感覚が薄くその操作も軽い為、ちょっとスピード感が麻痺する感じがありますね。ハイブリッドなので走り出しはモーターのみで行い、速度が20〜30km/hでエンジン始動という流れですが、走っている最中なので始動の振動や音というのはほぼ感じません。これは素晴らしい。が、少し上り坂のバイパス道路で加速しつつ追越車線に出るような場面ではモーンという無機質なエンジン音が聞こえ、速度もあまり伸びてこず。エンジン音のボリュームがよく抑えられているのが救いです。
ブレーキはストローク量に応じて効くタイプかと思いましたが、どうもそうではないみたい。歩くような速度での調整はしやすいものの、しっかり効かせたい時には不安になるタッチと効きで、これは感触と制動力の両方をもう一歩がっちりさせてほしいところ。
乗り心地はソフト思考だと思うのですが、時々軽い突き上げがあったり、そうかと思えばフワっと感じることもあり、説明に困ります・・・フワっと感じるのはダンパーの減衰力が不足しているからと思われ、しかしスプリングは特別柔らかいワケではない。だからちょっと突き上げを感じたり、フワっと感じたりするのではないかと思います。しかし突き上げといってもほんの少しで、私のクラブマンに比べれば全然少ないので快適と言っていいレベルですね。
そしてハンドリングは、私のイメージよりもスイスイ曲がるタイプでした。我が家のDJデミオと比べると、アクアの方がサスペンションは柔らかいけど少ない舵角で曲がる車のようです。デミオは少しサスペンションは硬いけど、ちゃんとハンドルを切って曲げてあげるような感じ。ハンドル操作に対してどういう動きを車がするか?というのには好みがあると思いますが、そこに車のデザイン、エンジン、トランスミッションとのマッチングまで含めて考えると、アクアのハンドリングはもう少しおっとりした方がキャラクターにマッチするように思えます。
その他、細かい部分ですが、エアコンの温度調整ダイヤルは使いやすい位置にあっていいのですが、回した感触はイマイチ。こういう部分は上級車種と部品を共通化してほしいもの。少なくともデミオはもうちょいしっかりしています。しかし走行中に内装のプラスチック部分がパキパキ鳴ることはなく、クラブマンもCクラスも鳴ることを思えばここは優秀ですね。デミオもそうですが、日本車の素晴らしいところです。それから走行モードでECOをモードを試してみましたが、だいたいどんな車も「多少加速は悪くなるけど、ずっと乗っていれば慣れるか」と思っていた私もアクアの場合はかったるすぎてすぐやめました。ノーマルモードだとキビキビ走るのに、ECOにすると異様に加速が鈍くなります。燃費には効くのかもしれませんが、落差が凄いのです。反対にノーマルモードでは軽く加速しているように感じても、実は全パワーの半分くらい使っているのかもしれません。静かだからそれを感じないだけで。
帰宅後アクアの価格を調べてみると180〜200万円くらいでした。その価格でモーターとバッテリーとエンジンを搭載する複雑なハイブリッドカーを作るということは、足回り、ブレーキなどに回せるコストは下げざるを得ないのでしょう。その結果、一定の快適性はあるものの、上質とか楽しいといった感覚は無い車だなーというのが私の率直な感想です。しかしこれは悪いワケではなく、スライドドアの軽自動車と同等の価格でより高性能の車が買えることになるので、道具として使う場合にはアクアは十分アリでコストパフォーマンスの高い車です。夕方クラブマンを受け取りにディーラーさんへ乗って行くのですが、その頃には「けっこう快適な車かも・・・」と思えてきたんですよ。ちゃんと一定レベルの快適性はあり、低価格で燃費もいい(はず)のですから、売れるのも理解できますね。しかし「走らせる楽しさ」というのはほぼ無い、私には響かない車でもありました。
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