ではCX-3の試乗です。1260kgに148ps、19.6kg-mというパワーですから、動力性能に不満はないだろうなーと思いつつ乗ってみました。(ここ最近私が試乗したマツダ車は現行CX-5 ディーゼル、ロードスターRF。CX-5のガソリンやCX-3のディーゼルは試乗しておらず、それらと比較はできません)
コールドスタート直後のアイドリングでも振動は少なく、なんとなく良いエンジンかな?と予感させます。ギヤをドライブに入れて販売店から車道に出るのですが、その際の段差はストストと滑らかにクリア。サスペンションが突っ張った感覚がありません。ふむ、けっこう柔らかめのサスペンションなのかな?と考えます。確かに段差での突き上げは少なく、柔らかいと言えば柔らかいのですが、交差点を少し速めの速度で曲がってみた感じは、予想より少ないロールでクリアしていきました。乗り心地と言うと、大きな道路のうねりを50km/h程で超えた際、体はフワっと持ち上げられたように感じましたが、戻った後は一発で収束しました。ここから察するに、サスペンションはそんなに柔らかくないみたいです。本当に初期の動き出しは柔らかく、その後はコシがあるとでも言うのでしょうか。それなら段差をスムースにクリアし、うねりで持ち上げられたように感じたのも、コーナーリング時のロールが少ないのも納得できます。
コーナーリング時のハンドル操作に対する車の動きは、一言で言えば自然でした。思ったよりも曲がることも、曲がらないこともありません。乗り始めて10分もすれば、「こういう操作をしたら、これくらいのロールで、これくらいの横Gで曲がる」という予想とピッタリ一致します。オーナーになって長い時間乗っていれば慣れていくものですが、短時間でも予想通りに車が動いてくれるというのは嬉しいものですね。あくまでも街乗り程度の速度での話であって、限界付近での話ではないので誤解なきよう。
以前試乗したCX-5ディーゼルと比較するなら、車格が違うので当たり前ですがCX-5の方がおおらかさを感じる乗り心地とハンドリングです。少しソフトなサスペンションと強いダンパーでフラットライド。地面に張り付いて安定している感触が強く、ロングツアラーの資質を感じます。その分ハンドリングはややスローですが、これは予想できる範囲なのでドライバーが車に合わせてあげればOKですね。
それに対してCX-3はキビキビしていますが、極端に曲がりたがることはなく、コンパクトSUVとして順当なハンドリングと乗り心地だと感じました。
静粛性については、ロードノイズの遮断がなかなかハイレベルだなーという印象。エンジン音は加速時に聞こえてきますが、音量はさほど大きくないし、その音質もブーンという情けないものでないのが嬉しいところ。厳しく言うと良い音でもありませんがね。加速時の6速ATも、ステップアップ比が大きいかな?と多少は思いますが、体に感じるGの変化は極わずかですし、スッスッと動くタコメーターの針を見ても「頑張って仕事しているな」と感じます。
エンジンの方は、カタログスペックからの予想通り、不満はありません。ノーマルモードの発進時はちょっとモタつく感じがしましたが、エンジンに力が無いのではなく、燃費重視のスロットル開度の設定のせいだと思われるので、不満なら少し多めにアクセルを踏めばいいだけです。中間加速は自然吸気エンジンらしく、エンジンの回転上昇と加速力が一致したもの。ATモードでアクセルを半分程度踏み込んだ際のキックダウンもまずまず素早いと言えます。
ペダル位置も最適で、アクセルペダルは座って自然に右足を伸ばした場所にあり快適です。私はオルガン式か吊り下げ式かに拘りは無く、場所だけちゃんとしていればいいと思っていますが、そのアクセルペダルの位置のお陰か、ブレーキペダルへの踏み替えが非常にしやすかったのが印象的でした。ただブレーキは効き始めの感触が薄く、静かに停めるのに少し神経を使いました。CX-5の時には感じなかったので個体差かもしれません。効き始めれば踏力に応じて効くので、静かに停めるのは慣れかもしれません。
総合的に考えて、ガソリン2Lエンジンでパワーは十分、燃費も悪くなく、自然なハンドリングを持っていて価格が230万円程度。そしてCVT嫌いに嬉しい6速AT。オプションを21万円と費用をプラスしても総額273.3万円というのは非常にコストパフォーマンスに優れる車だと感じました。ディーゼルは価格が少し高く販売台数は苦しかったCX-3ですが、ガソリン車の登場でライバル達に立ち向かいます。単に安いエンジンを積んだ車ではない!と断言できる、バランスの良い車でした。
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